日光東照宮にはたくさんの彫り物が置かれています。
その中でも特に有名なのが「眠り猫」の彫刻ですね。
日光東照宮にはこの彫刻に関する逸話がたくさん残っており、観光の名物の一つにもなっているのです。
ここでは「眠り猫」の場所、歴史、逸話、意味などを紹介します。
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眠り猫の場所(地図)
眠り猫は、東照宮の社殿の東側の回廊に置かれています。
奥宮に続く入口にあたる場所に設置されており、単なる飾りに留まらない存在感を持っています。
出典:日光東照宮ホームページ
歴史的彫刻の作者と修復
作者といわれているのは、伝説的な彫刻職人と言われる左甚五郎(ひだり じんごろう)です。
社殿のほとんどは、家康の死後20年である1636年(寛永13年)に建て替えられており、眠り猫にも同時期の江戸時代から続く歴史があります。
最近では約60年ぶりに修復が行われ、2016年11月28日から公開されています。
眠り猫の伝説
猫をモチーフにした彫り物は日光東照宮以外の神社にも多くあります。
しかし眠り猫には、それらとは明らかな違いがあります。
それは他の猫がエサを狙って飛びかかろうとしているのに対し、この猫だけは眠っているのです。
このことから禅を極めた猫であると言われることがあります。
また最初は眠っていなかったという逸話も存在します。
昔は目が開いていたという信じられないような伝説があるのです。
言葉で聞くと、すぐに嘘だと決めつけたくなるでしょう。
しかしこの彫刻を目の当たりにすると、その不思議な雰囲気によってすぐに否定する気にはならないのです。
真偽は別として、とてもロマンを感じさせる彫刻といえます。
裏側に隠された眠り猫の意味
またこの彫刻の裏側には、雀の彫刻も置かれています。
2羽が竹の林で仲睦まじく遊んでいる様子をデザインしたものです。
猫の傍に雀が置かれていることに疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
一般的に神社では、彫刻の置き場所をやみくもに決めているわけではありません。
霊魂を鎮めるためなど、さまざまな理由で適切な場所に置かれているのです。
つまり、この猫と雀の場所関係にも理由が存在するということです。
他の神社にも猫と雀を同時に描写している図は存在します。
しかし、それは猫が雀を襲う荒々しいデザインなのです。
見る人によっては、争いの悲惨さを連想してしまうかもしれません。
それに対して、日光東照宮の猫と雀からは争いの様子は微塵も感じられません。
本来は餌であるはずの雀に猫は関心を示さずに眠っているのです。
これには戦に明け暮れていた歴史が関係しているとの見方があります。
戦によって多くの命が奪われましたが、それが収まって安寧の世界が実現したことを表現しているというものです。
少なくとも多くの人は、猫と雀の様子を見て心に安らぎを感じるでしょう。
つまり眠り猫は、争いごとのない世界が続くことを祈願するお守りともいえるのです。
眠り猫が有名なことには、このような歴史的な理由があり伝説として語り継がれています。
日光に行くなら、こちらも外せません。
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